1.「Family Needs Survey(家族ニーズ質問紙)」の翻訳(第1版)の再検討を行い、さらに日本の最新の関連文献の収集を行った。同じ質問紙を参考に幼児期を含む多様な年齢の障害児の家族ニーズ調査を行っている国内の他の研究グループを確認し研究協力体制を確立した。このため、逆翻訳に関しては、次年度に検討することとした。先行研究の概観については、質問紙の重要性(簡便性、家族の抵抗の少なさ、気づきの促進)および他質問紙との比較を中心に論文発表を行った。 2、米国の研究動向と家族ニーズの把握方法の実際について、米国ハワイ大学MCHLENDの乳幼児期障害児支援の専門家から、個別支援計画に家族ニーズをどのように反映しているかについて訪問し情報を得た。米国においては、3歳までとそれ以降では、サービスの根拠となる法律が異なっており、関連職種のなかで、ソーシャル・ワーカーが、家族ニーズの把握に重要な役割をはたしていることが明らかになった。またハワイ州の個別家族支援計画のフォーマットを入手した。 3、調査の対象となる幼児の在籍する機関との協力体制を確立した。この過程で、サービス体系の急激な変化に伴って、一部の機関では、家族も支援者も十分なニーズ把握ができないまま支援が開始されている可能性が明らかになった。したがって、家族のニーズを、簡便に迅速に把握できる質問紙は、日本においても必要とされていると考えられる。この質的調査の結果については、来年度に発表予定である。永井明子・納富恵子・猪狩恵美子(2008)米国における乳幼児期の障害児の家族ニーズ評価障害児治療教育センター年報21巻31-36。
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