研究概要 |
本研究は、近年、欧米諸国で推進されている「エビデンスに基づく実践」の動向と方法をおさえながら、介護保険制度の導入によって効率化とケアの質の向上がめざされているわが国の高齢者福祉実践における適用のあり方について検討を行うことを目的としている。 本年度は、昨年度以来行ってきた文献的検討を整理し、4月に韓国・光州で行われた韓国社会福祉学会日韓シンポジウムにおいて報告を行った。 また、東京都八王子市市内の地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメント新規利用者(計111名)および要支援認定をうけながらサービスを利用していない対照群となる20名に対して、介護予防サービスの6ヶ月後の効果評価を実施するための枠組みおよび指標を作成し、5月〜9月にかけて担当相談員を通して評価調査を行った。評価指標には、生活の質を構成する要素として、ADL,IADL,生活満足度、精神的健康、ソーシャルサポート、サービス満足度などが組み込まれている。その結果、ADL等には低下傾向がみられるものの、精神的健康および生活満足度で改善傾向が認められた。なお結果の概要は冊子にして八王子市など関連機関に送付した。 さらに、要介護高齢者の施設入所に関わるエビデンスを収集するために、愛知県内の居宅介護支援事業所(N=700)に対して郵送調査を実施し、要介護4以上の重度者で3年以上在宅生活を行っている者と、同じく重度者で3ヶ月以内に施設入所した者についての情報を担当ケアマネジャーへの郵送調査を通して把握した。現在、データの収集を終え、入所/在宅に関連する要因の分析を実施しているところであるた。
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