本研究は養護型不登校(経済的不利と学力低下に起因する不登校)を経験した子どもたちが社会に出て自立していくための要因を明確化することを目的としている。そのためA町(生活保護率が全国平均の10倍以上にあるフリースクール(Bスクール)の卒業生69名を対象に調査をおこないBスクール在籍時の状況とBスクール卒業後の実態を把握した。調査は(1)69名に関するBスクールでの指導記録、Bスクールのスタッフからの聞き取り(2)このうち21名は本人または保護者のインタビュー調査で構成されている。 69名のBスクール在級時の経済的状況は生活保護家庭が56.5%、厳しい家計の家庭が13.0%、標準的家庭が26.1%、裕福な家庭が4.3%であった。学力は「同学年平均を上回る」が2.9%、「同学年平均と同等」が29.0%、「同学年平均を下回る」が40.6%、「同学年平均を大幅に下回る」が27.5%であった。生活保護受給家庭の子どもたちは受給していない家庭の子どもたちに比べ学力が有意に低下している傾向が確認された(P<.01).また在級児の家族構成は両親家庭が53.6%、母子家庭が36.2%、父子家庭が2.9%、祖父母養育家庭が5.8%、不明が1.4%であった。 学歴に関して確定している45名を調べると中学卒業が51.1%%、高校中退が17.8%、高校卒業が26.7%、大学卒業が4.4%であった。就学中以外44名の生活・就労状況は常勤勤務が11.3%、非常勤勤務が18.2%、専業主婦が13.6%、施設入所・入院が6.8%、生活保護で生活が18.2%、生活保護以外で無職が13.6%、不明が18.2%であった。 平成20年度はインタビュー結果をもとに質的分析をくわえる。
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