研究概要 |
平成19年度は、カナダ・トロント市のスクールソーシャルワーカー人材養成について調査研究を実施した。11月26日〜12月2日の期間,(1)トロント大学ソーシャルワーク大学院にて,スクールソーシャルワーカーの養成カリキュラム,実習指導体制及び実習指導内容について担当教員より聞き取り調査の実施,及び大学院フィールドワーク機関(相談機関)での実習状況の視察,(2)トロント市教育委員会スクールソーシャルワーカー担当部門統括者よりスクールソーシャルワーカーの配置状況・業務内容の聞き取り調査の実施,(3)トロント市スクールソーシャルワーカー・スーパーバイザーより,スクールソーシャルワーカーのスーパーバイズ体制についての聞き取り調査の実施,(4)スクールソーシャルワーカー養成におけるフィールドインストラクターより実習指導の内容についての聞き取り調査の実施を行った。この調査より,カナダではスクールソーシャルワーカーを専門職大学院で養成し,理論学習と実習での実践を統合した人材養成を図っていること,そして実証に基づく実践(Evidence-based practice)を基盤として実践者養成を図っていることがわかった。わが国においては,ソーシャルワーカー養成として社会福祉士及び精神保健福祉士は学部レベルで養成されているため,相談業務の実績を要するスクールソーシャルワーカーをどのように養成していくかの課題が浮き彫りとなった。そして,今回,文部科学省が平成20年度より全国141地域を指定して「スクールソーシャルワーカー活用事業」を実施することとなった。このような動向において,本研究の意義が尚一層増した。今回のカナダ・トロントの調査研究を踏まえ,平成20年度のアメリカでの調査,平成21年度の韓国の調査を実施し,わが国おけるスクールソーシャルワーカー人材養成のあり方について研究成果をまとめていく
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