今年度は研究計画に則り平成19~20年度に実施した調査のデータ分析、学会での研究成果発表および研究報告書の作成を行った。 1.主な分析結果 三者調査の分析結果からは、虐待の有無によって養護者を取り巻く家族関係や援助者の事例に対する意識や取組みが異なり、特に高齢者の認知症状の有無、養護者の介護内容、介護に関する知識や技術の有無、家族関係において特徴的な差が認められた。また、養護者の介護に対する知識や技術、取り組み態度に関して養護者の自己評価と援助者の評価を比較すると虐待事例では両者の間に認識の相違が認められた。 援助者ヒアリングの結果からは養護者が同居している場合、援助機関は養護者への支援は意識されていたものの、連携については、行政機関の積極的関与の少なさから全体としてのチーム連携に至っていないものと推察され、今後の援助の課題と考えられた。その他、分析結果の詳細は研究報告書に掲載した。2.研究成果発表 日本高齢者虐待防止学会および日本社会福祉学会等学術学会での発表のほか、青森・秋田両県で福祉援助職を対象とした研修会(虐待防止ネットワーク構築研修、主任ケアマネージャー研修等)、および地域住民を対象とした公開講座等においても本研究の成果を報告し高齢者虐待に関する理解の拡大に努めた。 3.研究報告書 研究報告書は、三者調査の集計結果、虐待事例と非虐待事例との比較、援助者ヒアリングの結果、被虐待者ヒアリング結果で構成されており、平成22年3月、調査協力機関に対して送付済である。
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