研究概要 |
<研究の目的>本研究では概括的な整理に加え、実証的な立場から、国内の実践を分析することに加え、欧米の実践の分析を行い世界的動向から本研究を深める。本研究ではわが国の特性を考慮したソーシャルワークの専門的コンピテンスの枠組みを提示することにより、社会福祉援助技術の発展に寄与できると共に、今後の保健医療ソーシャルワーク教育に貢献できると考える。平成20年度研究計画は第1に欧米の保健医療領域のソーシャルワーク専門家からのインタビュー調査を行った。特にソーシャルワーク援助技術で発展的な米国のミシガン大学病院およびオーストラリアのクイーンズ州立大学病院において実践現場のソーシャルワーカーに対してインタビュー調査を行った。逐語録から質的分析を用いてコンピテンスの構成要素を抽出することを試みた。一連の援助展開から援助者の価値・倫理観,援助の視点,知識,技術,アセスメントの枠組み,援助方針と援助実施への連動,再アセスメントの視点,事後評価の視点,理論,技法などを明らかにした.さらに米国・オーストラリアのソーシャルワーク教育、ソーシャルワーク資格のあり方などの相違の比較検討を行った。第2に我が国の保健医療領域のソーシャルワーク専門家と協働して日本の現状及びコンピテンスに関する概念整理を行った。欧米の教育をうけた者によってソーシャルワーク教育及びキャリアコンピテンシーの分析を試みた。さらに、我が国のソーシャルワークコンピテンシー向上の現状と阻害要因になっているものを検討した。以上、日米豪のソーシャルワークコンピテンシーの比較結果、資質的要因、専門的知識、技術を身につけるためにソーシャルワーカーとしての経験を積む必要があること、就職後の職場内外でのスーパービジョン体制、専門研修の積み上げによりコンピテンシー向上につながることが明らかになり、2007年度の研究を裏付けるものになった。
|