平成19年度は、文献収集と文献データのpdfファイル化が、研究活動の中心であった。400項目余り(単論文は1、書籍の場合は1章を1と換算)の文献をpdfファイル化した。文献は、従来の分類方法(例えば、方面委員制度、健康保険制度、工場法等の制度等を指標とした分類)と、(1)人口(静態・動態)、(2)教育制度、(3)都市化と人口移動、(4)産業化と就業構造の変化、(5)政治体制、(6)地方制度、(7)財政、(8)国際関係という8項目による分類方法を併用している。従来の分類方法と、8項目による分厦方法を併用することで、2つの「視点」を持つことができるように思う。 平成19年度は、8項目のうち、(1)〜(3)、(6)の比重が高く、他はやや少ない。来年度をこれらを収集、pdfファイル化の作業を進める予定である。 初年度の研究を通じて、大正期は、都市部(東京・大阪・京都等)での、都市化と人口流入が急激に起こった時期であることが分かりかけてきた。移動の背景として、人口増と挙育制度が係わっているように思われる。都市への流入人口の都市での定着化の過程で、産業化と就業構造の変化、政治体制、地方制度の変化が引き起こされているように思う。しかし、財政や政治過程とこれらの変化の関係については、なお時間をかけて調べる必要がある。「都市への人口流入と都市での定着化」が一つのキーワードであるように思う。最近「都市史」研究が広がりを見せていることに関心を抱いた。しかし、同じ「都市化」といっても、都市毎の「個別性」がある。都市毎の個別性と共通性について整理する必要がある。
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