介護保険制度下におけるホームヘルパーの就労実態を明らかにし、介護保険を支える課題を明らかにすることが本研究の目的である。そこで第1年目の2007年度では、勤務先・雇用形態・資格別にサンプリングした多様なホームヘルパ-(主として30-50代の女性ヘームヘルパー)を対象として調査を行うことにより、ホームヘルーの抱える課題、特に既婚女性ヘルパーの抱える生活と就労をめぐるジェンダー課題を明らかにすることを試みた。その結果として、いずれの勤務先においてもホームルパーには、雇用の多様化(非正規化)が進行していること、しかしその一方では、中途入職でも正規という道が開けている希有な仕事であるという相反する特徴が明らかとなった。 そこで第2年目の2008年度は、正規のヘルパーとして働く女性ホームヘルパーだけを対象として調査を行った。その結果、正規の女性ホームホルパーも厳しい労働条件のもとで働いているのだが、それはヘルパーという職種の特徴であるというよりも、「女性職」共通の課題を抱えていることが明らかになった。正規女性ヘルパーたちは、やりがいのある仕事としてホームヘルパーを選び、その仕事を続けながらも、一部民間の介護事業所等では、その価値に見合わない労働条件の悪さに不満を持っていた。
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