介護保険制度化におけるホームヘルパーの就労実態を明らかにする本研究の目的に則り、最終年である3年目にあたる本年度には、日本における補足調査と中国・北京における調査を行った。日本における補足調査では、愛知県下の比較的働きやすい機関で働いているホームヘルパーを対象にして調査を行った。具体的には、各自治体と連携する社会福祉協議会の職員である(自治体職員と同程度の労働条件である)。このような労働条件下で働くホームヘルパーは、昨年と1昨年の調査で明らかになったような、短期間・不定期な「不連続型就労」ではなく、長期間継続して働いていた。ホームヘルパーの働き方が「不連続型就労」に集中するのは、仕事の内容ではなく、雇用形態と深い関わりがあることが明らかとなった。 また、北京調査では、介護職として働く人のほとんどが地方から出稼ぎ者であり、昨年の上海調査と同じ調査結果が得られた。ジェンダー規範により男性よりも女性に集中しがちではあるものの、ジェンダー規範よりも出稼ぎという労働力の移動によって介護労働が補われている。中国調査で明らかになったこのような日本との相違・同意を比較して、本研究のまとめを行った。
|