イギリスのホームレス問題の焦点は、「支援」から「予防」に移行している。ホームレス状態を短期・緊急の課題として取組み、野宿者数の減少などの成果があげたが、長期的・質の高い支援が必要なことが判明してきたことによる。特に、「住居」、「サポート」「社会的ネットワーク」「労働、訓練、教育、その他の活動」がホームレス生活者に統合される必要が認識されてきた。「恒久的な住居」の獲得はホームレス生活者に精神的な安定をもたらすことや様様なホームレス生活者支援サービスの統合のためにセンターの果たす役割が確認されている。それは、支援センターへの様様なホームレス支援サービスの統合はサービス提供者間の連携やホームレス生活者自身へのサービス提供の有効性を示している。総じてイギリスにおけるホームレス生活者の支援は、専門化したホームレス・サービス提供者の連携によってホームレス生活者の生活を支えようとしているといえよう。 他方、日本で注目されているホームレス支援活動は、地域における包括的な支援活動である。例えば、釜ヶ崎では簡易宿泊所に生活支援を付加するサポーティブ・ハウスや救護施設を地域に開放しネットワークの構築を図っている。大都市圏郊外では戸建空家を利用して自立生活への足掛かりを提供し、生活を支えるネットワークの構築を支えている。 生活資本構築の方向性としてイギリスの専門分化したサービスの「統合連携型」と、日本の地域に残っているネットワークを利用する「地域ネットとワーク型」が考えられよう。
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