本研究の平成19年度の課題は看取り介護加算の導入により医師、看護師、介護福祉士の終末期ケア行動にいかなる変化が生じているか、施設内での協働作業の実態について明らかにし、今後のあり方を考えることである。本研究は大阪市立大学の学内倫理委員会を経て、調査対象者を大阪府下の全施設とした。333施設の施設長に郵送にて調査依頼を行い結果的に41施設、約350名からアンケートの回答が郵送され、そのアンケートの集計作業及び分析作業を行った。ケアワーカーと看護師の業務の実態と理想とする業務との相違や相手に対する期待や不満等が具体的に現れてきた。 次にアンケート結果の中の自由記述欄をピックアップして、集計分析を行い(約半数が記載している)ケアワーカーと看護師の終末期ケアに関する具体的な考え方をまとめた。さらに3施設の管理医師のヒアリングを行い、福祉施設における医師の業務実態と意識及び介護福祉士・看護師への考え方・課題を聞き取った。福祉施設内における医師・看護師・ケアワーカー3者の協働についての現状と考え方、今後のあり方についての分析を行った。このヒアリングを通して施設内での終末期ケア行動に対する協働体制の重要性が明らかになってきた。そのためには各職種の専門性・特徴を理解していく努力が重要であるということ。特に介護老人福祉施設においては施設長をはじめとしたリーダーの施設運営方針や役割が最も重要であることが示唆された。医師へのヒアリングとして大阪府下の管理医師のヒアリングに加えて、奈良県の病院、特別養護老人ホームの管理医師からも行い、さらに施設内での事例検討会への参加も行い、三者の協働の取り組みについての実態把握ができた。 平成21年度は研究期間の最終年度にあたるため国内学会(日本死の臨床会)、国外学会(アメリカ老年学会年次総会)にポスター発表を行い、成果報告をした。
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