研究概要 |
2008年5月から7月にかけて、17都道府県(北海道、青森県、岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、東京都、新潟県、福井県、山梨県、京都府、岡山県、徳島県、愛媛県、高知県、佐賀県)で訪問介護事業所として登録されている9,505事業所を対象に郵送調査を行った。回収調査票数は2,821票で、回収率は29.7%であった。以下、その結果の概要を述べる。 経営状況について、「順調である」と回答した事業所が42.7%、「不調である」と回答した事業所が55.5%であった。研究代表者らがおこなった介護保険制度導入当初の調査では、「赤字である」と回答した事業所が全体の55.8%をしめていた。 介護従事者の充足状況では、「充足している」と回答した事業所が50.9%、「不足している」と回答した事業所が48.7%となり、ほぼ同数となった。また、介護福祉士資格取得義務化について、「義務化の必要性を感じている」事業所は34%、「義務化の必要性を感じていない」事業所は65%であり、介護福祉士資格取得義務化に対しても消極的な意見が多数を占めた。 介護保険制度の改善すべき点としては、半数以上の事業所があげたのが「サービスの質と介護報酬の算定要件を結びつける仕組み作りが必要」(54%)であった。続いて、「国民負担を増やしても介護報酬を引き上げる必要がある」(30.5%)、「非営利法人の優遇制度を廃し、民間と同じレベルで競争させる必要がある」(29.6%)などの選択率が高かった。なお、「現制度のままでよい」と回答した事業所は1.6%であった。
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