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2009 年度 実績報告書

昭和戦前期の社会事業行政の展開と社会連帯思想の転換に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530530
研究機関佛教大学

研究代表者

池本 美和子  佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (90308932)

キーワード厚生事業 / 国民動員 / 社会事業 / 人口政策 / 厚生省
研究概要

1940年代前半の帝国議会は、戦時体制下の労務問題をめぐって配置転換の予定・休業手当・生活援助費など国民皆働体制が論議の殆どを占めて居る。予算にしても18年度予算では軍人援護・国民動員・結核対策・人口増強、保健衛生、国民生活安定(乳幼児体力向上・妊産婦補助・阿片費・戦時災害保護法施行)などをめぐって論議される。社会事業に関しては、昔は労働者は弱い者で保護するのが総ての制度の根本にあったとされ、社会事業でも仁恵的憐憫によって守るという方向、社会政策も衛生事業もそこから出発していたが、これが根本の誤りであったとする意見が強調されて出てくる。したがって厚生省はただ与えるだけでなしに生産性を帯びるようにしなければならないと指摘され、勤労によって国家に奉公するという方向が明確に出てくる。しかし、現実は食糧不足、国民体位の低下、乳幼児死亡率の上昇、医療体制の低下など、労務問題全体を支えうる基盤の崩壊は明らかであった。にもかかわらず、依然として生活物資問題以上に国民の精神性の維持、強化が繰り返されており、事実上は国民生活が維持できない状況にあったにもかかわらず、帝国議会の審議はこの時期益々空洞化していたことが読みとれる。社会連帯思想については審議ではもはや表明されることがなくなっているが、社会事業専門誌においてはフランスの社会連帯主義に付いての詳細な分析と紹介がまだ掲載されるという状況にあった。掲載そのものが如何なる意図のもとに実現したのか問われるが、それ自体が関心を呼ぶ状況ではなかったといえよう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 社会事業法案審議にみる戦前期社会事業の特徴2009

    • 著者名/発表者名
      池本美和子
    • 学会等名
      第57回日本社会福祉学会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      2009-10-11
  • [学会発表] 昭和初期における社会事業をめぐる国政審議の動向-その1-2009

    • 著者名/発表者名
      池本美和子
    • 学会等名
      第11回社会事業史学会
    • 発表場所
      東洋大学
    • 年月日
      2009-05-09

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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