研究課題/領域番号 |
19530531
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
緒方 由紀 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (50319480)
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研究分担者 |
岡村 正幸 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (00268054)
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キーワード | 精神障害者 / 社会関係資本 / ポスト脱施設化社会 / コミュニティ / 協働 / 市民権 / サービス供給体 / ゆるやかなネットワーク |
研究概要 |
本研究の概要は、1990年代以降の精神保健医療・福祉の政策および実践的課題である脱施設化社会への移行に際して、問題点の解明と移行後の社会モデルを提示するための構成フレームについて検討することにある。本年度は次の点を中心に検討を行った。 1.ポスト脱施設化社会の形成と運用 (1)移行前の脱施設化社会に対する認識と評価(歴史的蓄積・政策動向・国際基準・同意承認) (2)次社会の形成と運用にかかる新たな社会的関心と関与の具現化 2.協働型社会における地域力の構成要素とサービス供給体制のありかた (1)精神保健福祉領域の指定管理者制度によるサービス供給(鹿児島市精神保健福祉交流センターの事例から) (2)地域コミュニティにおける協働参画(三鷹市C-cafe、三鷹市市民協働センターの事例) まず、これまでの精神障害者のケアの歴史また政策面においても本人不在で受け皿づくりに集中してきたこと、つまり社会の関心は本人ではなく病気や障害またその治療や対策にあったこと、さらに現在の改革は地域においての関与(コミュティケア)を求めるものであるが、そこにいたるまでの価値規範の承認がなされていないがゆえに社会的入院の解消の遅れにみるように地域移行が進まない点を明らかにした。 続くポスト脱施設化社会の運営をめぐっては、「方法の当事者化」と「場の地域化」の軸において関与の具現化をとらえる必要がある。それを基礎自治体での政策設計とサービス供給体制における協働のパターンとの関連から鹿児島と三鷹の実践をとりあげた。そこでは、活動や関心のたかまりと蓄積、ニーズに即したサービス供給のありかたの工夫という点において参画の枠の広がりを確認した。
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