研究課題
ソーシャルワーク業務を担当している職員に関する実態調査について、周産期・新生児・小児医療分野(新生児期から始まる疾患の治療に関連する)のケースを担当したことがある調査対象463の業務分析を中心に行った。回答が得られた420施設のうち380施設(90.5%)にソーシャルワーク業務を行う職員がおり、さらに各施設のソーシャルワークを行う職員の平均人数は2.77であった。これらの職員の医療ソーシャルワーカーとしての経験年数は、5年未満が32.2%を占めており、施設の実稼動病床数の平均が505.19床であったことを考えると、1人が182.3床を担当していることとなる。業務においては、その体制において、ソーシャルワーク専従者が81.3%であり、他業務との兼務はしなくてよい状況が整ってきている。しかし、周産期・新生児・小児医療分野(新生児期から始まる疾患の治療に関連する)のケース担当の経験がある者は、65.7%であり、しかもそのうちの93.7%は分野ケースを専任で担当しているわけではなく、様々な分野のケースと並行して援助を行っていた。ケース数も、最近1年間の分野ケースの新ケース数の平均は31.19であるが、50ケース未満という者が最も多かった。かかわりの始まりの時期と紹介経路、時期ごとのきっかけ理由、援助内容、極低出生体重児への援助について記述統計の分析をすすめた。分析結果については、「周産期・新生児期からの生活支援における保健医療分野のソーシャルワークの実態に関する調査」報告書を作成した。今回の調査により、周産期・新生児・小児医療分野におけるソーシャルワークについて、経済的支援と退院援助に力を入れて業務を行っている実態があった。本調査研究の目的であった、極低出生体重児への実践モデル開発のプロセスの一部としての、実践モデルを使用する対象の実態を明らかにできた。9割の施設にソーシャルワークを行う職員が存在することや、社会福祉士資格を持つものが分野ケース担当者の75.6%を占めていたことは、実践モデル開発の土台が整いつつあると評価できる。
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医療と福祉 No. 85, Vol. 42-No 2
ページ: 26-34