研究課題
わが国のひとり親家族で育つ子どもたちの「自立」に焦点をあてて、ひとり親家族における親と子どもを対象にしたインタビュー調査を行い、高校生と大学生20名以上のインタビューデータを得た。また、2008年度に実施したひとり親家族で育つ高校生対象のアンケート調査と比較するために、ふたり親家族で育つ高校生にアンケート調査を実施し、ひとり親家族の生活状況と子どもの発達段階の違いによる生活困難の違いを明らかにするために、データ収集と分析を行った。インタビューからは、ほとんどの子どもたちが、(1)親が離婚してひとり親家族になったことを、好意的に受け入れているということ、(2)親の頑張りを評価していること、(3)できるだけ、親には心配や負担をかけないように気遣っている子どもたちが少なくないこと、(4)日常生活では、困ったことがないと応える子どもが少なくないが、(5)高校進学は、確実に合格できること、自宅から近いこと、奨学金を受けることが当然で、大学で奨学金を授業料にあて、アルバイトで生活費を稼いでいる学生も少なくなく、卒業時には、700万~1000万円くらいの借金を背負うことが明らかになった。アンケート調査からは、高校生で、親から小遣いをもらっていない子どもは半数近くおり、アルバイトをしている割合が高く、アルバイトをしている高校生では、大学進学希望が少ないこと、そのため、授業以外の学習は、なかば諦めている様子が浮かび上がってきた。ひとり親家族で育つ子どもたちが、社会へ巣立っているにあたって、加重な借金を背負う必要がないような、また、高校生活、大学生活を、アルバイトに明け暮れるのではなく、充実した学生生活を送ることができるような支援が不可欠であることが明らかとなった。
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日本の子づれシングルと子どもたち,『多様な家族における新しい福祉モデルの国際比較研究-若者、ひとり親家族、高齢者』411頁(中嶋和夫・尹靖水・近藤理恵編)(学文社)
ページ: 48-66
立命館言語文化研究 21-1
ページ: 7-27
ひとり親家庭のくらしと子育てを支援する社会運動,『大阪社会労働運動史』第9巻 総733頁((財)大阪社会運動協会編)
ページ: 475-489