本年度の研究成果としては、平成20年度に実施した、医療機関における「ターミナルケアの実態調査」アンケートを集計、分析し、報告書を作成、送付を実施した。 本調査集計及び分析の結果としては、多くの病院がターミナルケアへの対応が必要との回答がありながら、緩和ケアチームを設置しているとの回答が18%に過ぎず、医療ソーシャルワーカーの配置もなされていない。 しかし、ターミナル期の患者及び家族の抱える医療福祉ニーズとしては、経済的、看取りの場所の問題(在宅療養調整)が多く回答されており、今後緩和ケアチームそのものの設置と医療ソーシャルワーカーの配置が必要であることが示された。さらに、多くの回答から、患者本人の意思が守られる医療及び支援体制が不足していることが提示されていた。 一方、地域医療連携室の設置が回答者の64%を占めており、設置しているとの回答のうち79%に医療ソーシャルワーカーが配置されている。これは、転院・連携業務に医療ソーシャルワーカーが活用されていることも示している。 本研究の意義としては、ターミナルケアにおける医療ソーシャルワーク実践モデルを提示することで、その有効性が示され、緩和ケアチームの一員、さらにチーム医療の一員としてのターミナルケアの患者及び家族の抱える社会的問題への対応が医療機関で可能となると考える。
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