本研究は、ターミナルケアにおける医療福祉ニーズについて、九州圏域におけるがんターミナルに関わる医療機関の実態調査及びがんターミナルに関わる医療ソーシャルワーカーへのインタビュー調査、事例検討を通して、がんターミナル患者及び家族がどのような医療福祉ニーズを抱えているかについての提示を試みた。これらの研究から明らかとなったことは、医療圏ごとにがん治療に関連した供給体制の偏在が存在するということと、患者及び家族の医療福祉ニーズ発見の立場にあるスタッフとして看護師が重要であることが先ず示唆された。一方、がんターミナル患者の医療福祉ニーズへの医療ソーシャルワーカーによる対応は、多くの相談が医療費を巡る相談、転院及び在宅への退院調整の役割に限定されていることが提示された。このような状況の中で、がんターミナル患者及び家族の抱える医療福祉ニーズは、「痛みのコントロール」が最も高く、緩和ケアの技術の普及が急がれることが提示されている。また、医療スタッフから提示された医療福祉ニーズとして、在宅もしくはホスピス病棟での看取りがベストとの回答が多く、在宅での看取りのシステム構築とホスピス病棟の不足が課題であることが提示された。
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