日本の高齢者による世代間交流活動の質的向上、継続、発展を目的として、世代間交流活動に携わる高齢者の研修プログラムの開発を意図し、日本、米国、スウェーデンで行われている先行実践の調査を行った。 1.平成19年度にスウェーデンの中高年による幼稚園、小学校における中高年の失業対策と連動した有償ボランティアであるクラスダディ(Klassmorfar)・プログラムの実地調査を行いその目的、希望者の募集、研修プログラム、歴史的成り立ちなどを調べた。 2.加えて、日本の先行実践:特定非営利活動法人日本世代間交流協会および白梅学園大学・短期大学共同主催のコーディネーター養成講座について、研修プログラムの内容、方法、期間等を検討し、講座参加者を対象とする調査票を作成し、世代間交流コーディネーター養成講座の受講生を対象に、コーディネーター養成プログラムへの参加の理由、きっかけ、現在の仕事とのつながり、希望する研修内容などについての調査を行ない、続いてインタヴュー調査も行った。 3.さらに、米国の中高年による学校ボランティア・プログラムであるイクスピリエンス・コア(Experience Corps)プログラムの研修プログラムについて、文献調査の上で、米国ペンシルヴァニア州フィラデルフィア市のテンプル大學世代間交流学習センター、イクスピリエンス・コアのディレクターであるロバート・ティース(Robert Tiez)氏から数日にわたって詳細な講義および面接調査を行った。 以上の様な方法で、日本、米国、スウェーデンの3ヶ国における高齢者の世代間交流研修プログラムについて、比較考察を行った。その結果、行政、大學、研修プログラムを企画するNPO団体などの組織との三者関係が、それぞれの研修プログラムの実施方法、内容にも様々な影響をもたらしていることが明らかとなった。特に米国、スウェーデンの研修プログラムは、独自な世代間交流プログラムに付随した研修プログラムであるが、今回調査を行った日本の先行研修プログラムは、現在すでに多様な福祉施設で世代間交流を実践している者や、今後実践を希望する者が対象であって、米国、スウェーデンの例と、性格を異にしている。従って、日本での高齢者の世代間交流研修プログラムは、特定の世代間交流プログラムに付随した研修ではないので、多義な内容を研修する希望が出された。従って、出来れば世代間交流の研修プログラムは、将来的に見れば、4年生大學などのカリキュラムとして定着されることが望ましい内容のものを含んでいる。
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