介護保険法により制度化されたケアマネジメントを適切に行うためには、介護支援専門員の資質向上だけでなく、多職種チームによるチームアプローチが適切に行われる必要がある。本研究においては、主に米国において研究されているチーム研究に基づき、チームパフォーマンス向上の簡便な手段として「チームマップ」を研究開発することを目的としている。 チーム研究によると、チームパフォーマンス向上のためには「チームコンピテンシー」の一つである「共有メンタルモデル」をチームが獲得する必要がある。共有メンタルモデルは、チームの協働・連携の基盤となる最も重要なものであり、これがチームに獲得されるとチームパフォーマンスが向上すると考えられている。また、そのためのチームトレーニングに関する研究も行われている。 チームトレーニングは、本来は専門職の養成段階、すなわち、卒前教育において行うべきことであると考えるが、そのような教育が行われていない現状を考慮すると、現任教育の中で行う必要がある。そのためには、多忙な現場職員が簡単に習得でき、かつ、使用できるものが求められる。 そのため、チームが共有メンタルモデルを獲得するための手法として「チームマップ」の原案を研究開発した。これは福祉分野で用いられる「エコマップ」に類似しているが、チーム構成員が、各々のチーム構成員の役割とその全体配置、業務の実施手順、チーム構成員間の情報・資源・バックアップ行動等を確認していくための様式類である。これらを用いることにより、チームが共有メンタルモデルを獲得しチームパフォーマンス向上に資することができると考える。
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