チームに関する先行研究において、チームアプローチ促進のための要件である「チームコンピテンシー」が明らかにされている。その中で特に重要であると考えられるのが「共有メンタルモデル」である。そのため、チームアプローチ促進にはチームが「共有メンタルモデル」を獲得する必要があると考えられる。本研究は、ケアマネジメントを行う多職種チームが共有メンタルモデルを獲得するための具体的な手法として「チームマップ」を研究開発することを目的としている。 平成20年度には東京都内の3ヶ所の地域包括支援センターの協力を得て、チームマップを用いた試行的研修(講義編2時間と演習編2時間の計4時間)を実施した。なお、試行的研修の実施にあたっては、研究代表者の所属機関に設置された倫理委員会に研究計画を提出し承認を受けた。 講義編では共有メンタルモデルの理解と、共有メンタルモデルを獲得するために必要な知識に関して講義を行った。また、演習編では介護支援専門員から相談があったという設定で事例を用意し、事例を使用して実際にチームマップに記入してもらい、演習後にアンケートに回答してもらった。 その結果、チームアプローチ促進のためチームマップを使用することの有用性は確認できたが、実際に使用するためには更なる改良が必要であることが示唆された。多忙の業務の中で介護支援専門員からの相談に応じられるのは最大でも1時間程度であり、その時間で話を聞いて記入できるものである必要がある。今後は、アンケート結果を参考にしてチームマップの改良を行う予定である。 なお、「チームマップ」という用語は、研究代表者の所属機関が商標登録を行った。
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