研究課題
子どもが環境移行を体験し、それに伴い仲間関係の再編成を求められる小学校入学の前後の適応を規定する要因を検討した。年長幼児(N=52)を対象に、年長時点とその後の1年生時点の双方で仲間関係と行動評価を測定した。幼児期の仲間関係と社会的行動評価、情動制御が、小1時の仲間関係と社会的行動評価に及ぼす影響を測定した。幼児期の社会的行動は小1時の仲間関係を予測しなかった。一方で、幼児期の仲間関係は小1時の社会的行動を予測し、幼児期の仲間からの友人選択の少なかったものは、幼児期の友人選択の影響を統計的に取り除いても、小1時に攻撃的、引っ込み思案と教師から評価された。このことは、幼児期に仲間を十分持てないことが、子どもの行動を攻撃的や引っ込み思案など、より適応的でない方向に向けることを意味している。また幼児期の情動喚起場面における体表温の低さは小1時の教師による過活動評価と関連する傾向が見られた。このことは、幼児期の情動制御の生理的指標が後の適応を予測する可能性を示すものである。これらの結果から、情動制御が幼児期の仲間関係に関連し、ついで幼児期の仲間関係が小1時の社会的行動に関連する可能性を考察した。
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千葉大学教育学部研究紀要 58
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