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2009 年度 実績報告書

マスコミが対象とするスケープゴートの変遷

研究課題

研究課題/領域番号 19530557
研究機関大阪大学

研究代表者

釘原 直樹  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60153269)

研究分担者 植村 善太郎  福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20340367)
キーワードJR福知山線脱線事故 / スケープゴート / 非難の変遷 / 事故報道 / 記事数 / 記事分析 / マスコミ報道
研究概要

平成21年度は第1に記憶バイアスに関する実験的研究を行った。事件事故が発生すればマスコミの非難攻撃の対象が、個人、集団、システム、国家、文化社会へと順に変遷していくことがこれまでの新聞記事などの分析結果によって明らかになった。そこでこのようなスケープ・ゴート変遷のイメージが生じる原因について明らかにするために、刺激呈示頻数の時系列変化が主観的判断に及ぼす影響について実験を行った。刺激としては「ぬせ、へよ、めみ」等の無意味綴りを用いてこれらの単語を20分間連続呈示した。実験開始とともに呈示刺激が急増し、開始後2分でピークに達し、その後次第に減衰していった。これはマスコミ報道の記事頻数の変遷をイメージしたものである。変動パターンは全条件同じで、頻度数のみを操作した。実験の結果、高頻度刺激は過少視され、低頻度刺激は過大視されること、低頻度刺激は頻度判断のピークが時間的に後方にズレることがわかった。これはマスコミのスケープ・ゴート変遷イメージと一致した。
第2に非難記事のコーディングの自動化の精度を上げるための試みを行った。コーディング作業には多数の人手と時間がかかる。また作業がコーディングをする人の主観に左右されるために信頼性が問題となる。本年度は、信頼性の確保、効率的で簡便な分析法の開発、分析手法の妥当性向上を目標に、テキストマイニングソフト(SPSS Text Analysis for Survey)を用いた分析を試みた。対象はJR福知山線脱線事故発生翌日から3ヶ月間の新聞記事であった。記事の変遷パターンは手作業で行ったものとほぼ一致したが、非難対象毎に見ると、手作業と一致しているものと、していないものがあった。精度の高い方法の開発にはキーワード選択の方法についてさらに検討する必要がある。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 危機時における情報発信の在り方を考える 新型インフルエンザのクライシスコミュニケーションからの教訓2009

    • 著者名/発表者名
      吉川肇子・釘原直樹・岡本真一郎
    • 雑誌名

      医学会新聞 2853

      ページ: 5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] クライシスコミュニケーションはなぜうまくいかないのか2009

    • 著者名/発表者名
      吉川肇子・釘原直樹・岡本真一郎
    • 雑誌名

      日本医事新報 4456

      ページ: 95-99

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新型インフルエンザ発生時におけるクライシスコミュニケーションの問題2009

    • 著者名/発表者名
      吉川肇子・釘原直樹・岡本真一郎
    • 雑誌名

      日本医事新報 4447

      ページ: 96-102

    • 査読あり
  • [学会発表] マスコミが対象とするスケープゴートの変遷 (15) テレビCM認知の歪み2009

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹, 植村善太郎, 村上幸史, 阿形亜子
    • 学会等名
      日本社会心理学会第50回大会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2009-10-11
  • [学会発表] マスコミが対象とするスケープゴートの変遷 (16) テキストマイニングの特性を生かした検討2009

    • 著者名/発表者名
      植村善太郎・村上幸史・阿形亜子・釘原直樹
    • 学会等名
      日本社会心理学会第50回大会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2009-10-10
  • [学会発表] マスコミが対象とするスケープゴートの変遷 (13) 記憶バイアスに関する実験的研究2009

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹, 植村善太郎, 村上幸史, 阿形亜子
    • 学会等名
      日本心理学会第73回大会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2009-08-27
  • [学会発表] マスコミが対象とするスケープゴートの変遷 (14) 機会分析の方法の開発2009

    • 著者名/発表者名
      植村善太郎・村上幸史・阿形亜子・釘原直樹
    • 学会等名
      日本心理学会第73回大会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2009-08-27
  • [図書] 危機管理マニュアル どう伝え合うクライシスコミュニケーション2009

    • 著者名/発表者名
      吉川肇子・釘原直樹・岡本真一郎・中川和之
    • 総ページ数
      184
    • 出版者
      イマジン出版
  • [図書] 産業・組織心理学への招待 第3章 集団・組織担当 (白樫三四郎 編)2009

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹
    • 総ページ数
      242
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] 新版 社会心理学研究入門 第9章担当 (安藤清志・村田光二・沼崎誠 編)2009

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹
    • 総ページ数
      254
    • 出版者
      東京大学出版会
  • [備考]

    • URL

      http://syasin.hus.osaka-u.ac.jp/index-j.html

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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