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2010 年度 実績報告書

マスコミが対象とするスケープゴートの変遷

研究課題

研究課題/領域番号 19530557
研究機関大阪大学

研究代表者

釘原 直樹  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60153269)

研究分担者 植村 善太郎  福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20340367)
キーワードJR福知山線脱線事故 / スケープゴート / 非難の変遷 / 事故報道 / 記事数 / 記事分析 / マスコミ報道
研究概要

平成22年度も第1に記憶バイアスに関する実験的研究を行った。スケープ・ゴート変遷のイメージが生じる原因について明らかにするために、刺激呈示頻数の時系列変化と刺激の持つ情動価が主観的判断に及ぼす影響について実験を行った。刺激としては快感情をもたらす写真(例えばスカイダイビング、ヨット・セーリング)や不快写真(嘔吐、乳がん)や中性写真(ティッシュペーパー、かご)を用いてこれらの写真を20分間連続呈示した。実験開始とともに呈示刺激が急増し、開始後2分でピークに達し、その後次第に減衰していった。これはマスコミ報道の記事頻数の変遷をイメージしたものである。変動パターンは全条件同じで、頻度数のみを操作した。実験の結果、不快写真は頻度知覚を増大させるが、快写真は相対的に知覚された頻度が少なく、刺激の持つ情動価が頻度知覚に影響すること、それから低頻度刺激は主観的頻度判断のピークが最も遅く現れ、その後減衰せずむしろ増加することが明らかになった。このような認知的バイアスがスケープゴートの変遷のイメージの背後にあることが示唆された。第2に非難を含むマスコミ報道に対する一般人の認知について分析した。具体的には、毎日新聞のJR福知山線脱線事故に関する新聞記事とその記事内容の説明文を映写し調査者がその説明文を読み上げた。その後1)事故の原因になった程度、2)事故に対する責任の程度、3)どの程度の非難を受けるべきかについて、0から100で判断をさせた。分析の結果、仮想的有能感が高い群は過剰な因果帰属を行う程度が高く、同乗運転士に関わる報道の重要性をより高く見積もる傾向にあることがわかった。これはネガティブな情動とスケープゴートへの非難やその変遷との関連性を示していると言える。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 学会発表 (4件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Effect of elapsed time since an incident and media contact frequency on interpretation of an incident : Causality, responsibility, and blame attributions for foot-and-mouth disease outbreak in Japan.2011

    • 著者名/発表者名
      Zentaro UEMURA
    • 学会等名
      The 12th annual SPSP (Society for Personality and Social Psychology) Meeting
    • 発表場所
      San Antonio, Texas.
    • 年月日
      2011-01-29
  • [学会発表] Effects of affective valence of rare events on overestimation of frequency judgment.2010

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹
    • 学会等名
      Society for Risk Analysis Annual Meeting
    • 発表場所
      Salt Lake City
    • 年月日
      2010-12-06
  • [学会発表] マスコミが対象とするスケープゴートの変遷(18)大事故報道での非難対象に対する一般人の帰属2010

    • 著者名/発表者名
      植村善太郎、村上幸史、阿形亜子、釘原直樹
    • 学会等名
      日本社会心理学会第51回大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2010-09-18
  • [学会発表] マスコミが対象とするスケープゴートの変遷(17)新型インフルエンザについてのリアルタイム評価2010

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹、植村善太郎、村上幸史、阿形亜子
    • 学会等名
      日本社会心理学会第51回大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2010-09-18
  • [図書] グループ・ダイナミックス 集団と群集の心理学2011

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹
    • 総ページ数
      274
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] スケープゴート 吉田俊和・元吉忠寛(編) 体験で学ぶ社会心理学2010

    • 著者名/発表者名
      植村善太郎
    • 総ページ数
      28-31
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
  • [備考]

    • URL

      http://bousai.jiji.com/apps/do/auth/login.html

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公開日: 2012-07-19  

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