他者の認知バイアスの修正についてのメタ推論における、自分の認知バイアスの修正の影響について、対応バイアスの修正を取り上げ実験的検討を行った。バイアスを修正した経験を他者には投影せず、自己中心的な推論をすると予測している。具体的には、他者に関する情報を得た後に属性推論を行う課題において、自発的に対応バイアスを修正した場合に他者のバイアスの修正についてどのように予測するかを検討する実験を行った。しかし、あからさまでない方法により、自発的に対応バイアスを修正する操作方法(プライミング方法)を見いだすことができなかった。そのため、自発的な対応バイアスの修正後の他者のバイアス修正についてのメタ推論については、十分に検討できていない。この問題は、最終年度においても継続して検討する予定である。 さらに、感情予測におけるインパクト・バイアスを経験した後の他者の感情状態の推測について実験的に検討した。昨年度に引き続き、ネガティブな感情として後悔感情をとりあげ、昨年度に実施した研究を感情の持続ではなく、即時的感情の強度を対象にして、追試を行った。即時的な感情の強度についての予測においても、自分の後悔感情が予測よりも弱いという経験(予測バイアスの認識)をしても、他者の後悔感情の強度は強いと予測し、自分の経験を投影しないことが確認され、自己中心的な推論が確認された。 昨年度実施した研究については、学会発表をおこなった。
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