研究課題/領域番号 |
19530565
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
片山 美由紀 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50265229)
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研究分担者 |
安藤 清志 東洋大学, 社会学部, 教授 (50125978)
泊 真児 大妻女子大学, 人間関係学部, 講師 (50323233)
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キーワード | ワークライフバランス / 少子化 / 父親の子育て / 制限環境 / 余暇 / 自己 / 適応 / 心理学 |
研究概要 |
本年度は予定通り4種類の調査を行った。1:制限環境下にある対象者の実態、2:大学生を対象とする調査による理論的変数検討、3:制限環境をサポートする方々への調査、4:北米・欧州の実態とメカニズムの調査。研究図式は下記。 (A)従前の自己→(B)状況の変化・喪失的経験→(C)適応困難→(D)変化の契機→(E)適応的志向の対処行動→(1)自己(ストーリー)の再構成、→(2)新たな行動・意識レパートリーの獲得1:「自由時間のあり方の基礎的整理と社会心理学」の論文で日本の現況の問題につき社会心理学視点の分析を行った。また多摩市および台東区の育児中の母親に半構造化面接調査を行い、自分の時間確保や育児を通した出会いが否定的感情緩和に寄与することを明らかにした。2:日本社会心理学会で「制限環境下における自由時間活用」の発表を行い(E)(2)の実態を具体的数値と項目で示した。3:父親向け子育て支援・ファザリングジャパンの代表や社員へのインタビューや厚生労働省シンポジウム等を通してワークライフバランス問題の社会心理学的論点を得た。4:北米の余暇実態と制限環境についてレビューを行う過程で、Iwasakiによる余暇研究批判レビュー(中東・アフリカ・アジア等と西欧の差異)に示唆を受けた。また制限環境の制度的側面のレビューを行う過程で、一般に先進的とみなされる北欧モデルと対極の南欧福祉モデルの可能性について、資料収集および考察が深まった。統計的数値や調査数値だけでは確証の得がたい南欧の実態部分は、この1年の間に知己を得た複数のイタリア研究者らへのインタビューにより妥当性検討を進めた。 本研究で得られた成果は、人々のクオリティー・オブ・ライフの向上への示唆の礎となると同時に、結果として現在世界の先進諸国で問題の少子化につき、日本の現況分析および新たな視座を付け加える意義深いものである。
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