研究課題/領域番号 |
19530565
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
片山 美由紀 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50265229)
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研究分担者 |
安藤 清志 東洋大学, 社会学部, 教授 (50125978)
泊 真児 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (50323233)
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キーワード | 余暇活動 / ワークライフバランス / 少子化 / 適応 / 心理学 / 育児 / 自由時間 / レスパイト |
研究概要 |
昨年度までに収集したデータの分析を行った。日本・イタリア・韓国の、10歳以下の子どもを育児中の有職男女のデータについて、3ヶ国いずれにおいても、また男性のみデータ、女性のみデータにおいても、「祝祭」・「達成」・「解放」の3つの変数構造が確認された。心理学的研究における因子構造の安定性・再現性は容易とはいえない実態から考え、綿密な項目作成の大きな成果が得られたと評価できる。これらのうち「解放」いいかえればレスパイトは特に制限環境下において失われがちなものであり、それゆえその実現は研究の焦点の1つであった。日本・イタリア・韓国3ヶ国はいずれも少子化のすすむ国々である。これらの国際比較調査における男性票の分析によれば、日本と韓国、すなわちワークライフバランスの点で世界の中でも仕事中心の社会である国においては、仕事からの「解放」が余暇活動における動因となる一方、家庭生活が生活の中心にあるイタリアでは、家族と過ごす時間/空間からの「解放」が余暇活動の動因となっていることが示唆された。このことは、日本社会における制限環境と余暇活動の関係の特徴を示した一方で、心理変数としての3つの方向性だけではなく社会構造そのものを明確に研究変数として取り入れる必然性をデータとして示した点で重要である。また、制限環境経験後の対処行動として、自己ストーリーの再構成にエネルギーが注がれることは、新たな行動/意識レパートリーの獲得とは負の相関関係にあることが示唆された。このことは、後者を支える要因について、今後さらなる検討が必要であることを示している。
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