21年度に実施した研究の成果は、以下の3点が挙げられる。第1点目は、解決構築(志向)アプローチを主たるカウンセリング技法とする大学附属の心理教育相談室の活動を通じて、地域に開かれた心理臨床活動を展開する中で、相談員の技量の向上、相談室機能の充実とノウハウの蓄積をさらに進めることができた。相談員の多くは、地域の学校教職員であり、心理臨床と学校教育実践とをリンクする人材、組織を整備することに大きく貢献した。第2点目は、9月20日、21日沖縄において、第3回大会ソリューションランドを企画、開催したことである。大会の中心メンバーの一人として、開催前から、企画・開催に関わるとともに、大会当日には、「解決構築(志向)、アプローチ(SFA)の教育現場での実践」というタイトルでセッションを担当した。日本の各地において、学校教育実践にSFAを生かした取り組みについて、実践報告や様々な情報の交換を行い、また人と人との交流も生まれた。第3点目は、市内小学校における、様々な課題を抱えたクラスにおいての現場の教員との協働による、解決構築(志向)アプローチを生かした学校教育実践(WOWWと呼ばれる)の展開である。学級崩壊したクラスに対する働きかけ方、特別支援教育のニーズをもった子どもへの対応、教職員に対する支援のあり方、保護者に対する教育相談的関わりのすべての側面において、SFAを生かした取り組みが試行され、大きな教育実践効果を上げるとともに、ハイパーQ-Uによる効果測定によって、このアプローチの有効性を検証することに役立ってきている。また、この学校教育臨床支援システムには、学生も関わり、ピアヘルパー的関わりの側面からも解決構築(志向)アプローチの応用を考える上で、非常に有効であった。なお、これらの実践(WOWW)は8月12日旭川において開催された第1回学校教育実践に生かす解決構築アプローチ研究大会(WOWW研究大会)に結実し、地域における学校教育臨床支援システムの構築に大きく貢献した。
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