研究概要 |
本研究の最終的な目的は,心理教育的観点から,今求められている教員資質の内容を体系的に分析し,その評価方法と開発方法を考案することである。本年度は最終年度に当たり,心理教育的リーダーシップを育成するための訓練プログラムと,その効果を評価するためのツールの作成を試みた。 1.リーダーシップ訓練プログラムの試作 教員養成大学の3・4年生を対象とする授業「心理教育的指導論」を使って,リーダーシップ訓練に役立つワークやエクササイズを実施した。本年度は候補となる活動を数多くとりあげ,受講生の反応や評価を確認して,プログラム化のための基礎資料を得た。今後,この資料を基に,プログラム化を試みる予定である。 2.教育実習における効果測定 訓練試行に参加した協力者について,さらに教育実習中の経験について個別面接による追跡調査を実施するとともに,実際の授業を観察・記録して効果を検証した。訓練の成果を活かすためには,授業反省会等を通じたリフレクションの時間が有効であることが示唆された。 3.訓練効果評価尺度の試作 教員に求められる資質としてのコミュニケーションスキルについて,場面・状況別に自己診断し,トレーニング効果の評価にも役立つ自己評価用尺度を試作した。項目分析により,高い信頼性を持つ尺度を構成することができた。また,この尺度を訓練プログラムの前後に実施した結果,プログラムを受けることにより大きく改善することが示された。
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