研究課題/領域番号 |
19530584
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
伊藤 友彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40159893)
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研究分担者 |
大伴 潔 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (30213789)
藤野 博 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00248270)
福田 真二 北海道医療大学, 心理科学部, 准教授 (70347780)
福田 スーシー 青山学院大学, 法学部, 准教授 (00337867)
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キーワード | 特異的言語発達障害 / 文法 / 縦断研究 / 日本語 / 時制 / 受動文 / 非語 / 語い |
研究概要 |
今回の3年にわたる研究の目的は、小中学校等の通常の教室に在籍している特異的言語発達障害(Specific Language Impairment, SLI)児について、1)言語特徴によってどのような下位グループに分けられるかを明らかにし、2)日本語SLI児に対する体系的な指導法を提案することである。 初年度である今年度は、1)縦断研究による典型的SLI児に対する指導法の検討と、2)横断研究による下位グループ化の検討、を行い、さらに3)縦断研究のデータをもとに、国際会議で研究成果を発表することを目的とした。 平成16年度から縦断的に(原則として週に1回)指導および研究対象としている典型的SLIの研究を継続して行った。対象児は学齢期のSLI児兄弟2名であった。また、この縦断研究のデータを含め、これまでの縦断研究の成果を第1回北欧神経言語学国際会議(2008年2月9〜10日)に参加して発表した。参加・発表者は研究代表者である伊藤と福田真二であった。この発表では、縦断研究の対象児であるG-SLI児1例の9歳から14までの時制と受動文における成績の変化を比較し、報告した。発表の概要は以下のとおりである。 日本語G-SLI児1例を対象に9歳から14歳まで縦断的に追跡した。その結果、1)時制においては、非語の産出課題の正答率に上昇がみられなかった。また、2)受動文においては、判断課題、産出課題ともに、正答率の上昇が認められなかった。これに対して、3)語彙の成績は9歳から14歳にかけて急激に上昇した。このように、今回の縦断研究の結果、日本語のG-SLI児においては、語彙は急速に伸びるが、自制、受動文の成績は改善しにくいことが明らかになった。このことから、G-SLI児においては、語彙面は改善するが、文法面の障害は持続することが示唆された。なお、今年度の目的の一つであった横断研究による下位グループ化の検討は次年度以降にまわすことにした。
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