研究課題
本研究の目的は、これまで言語学的側面からの詳しい検討がほとんど行われていない日本語の特異的言語発達障害(Specific Language Impairment, SLI)について、2例を対象とした5年以上にわたる縦断研究の研究成果を中心とした研究を行い、その言語学的特徴を明らかにするとともに、その結果をふまえて、日本語SLI児の指導法を提言することである。研究の成果を随時、国際会議において発表することによって、SLIの個別言語を超えた特徴の研究に寄与しようとする点も今回の研究の特徴である。本年度も昨年度までと同様、SLIの子ども2名に対する、平成16年度から5年以上にわたって行ってきた縦断研究を継続した。原則として週に一回、学生を家庭教師として派遣し、教科等の指導の援助をしながら、必要に応じて言語検査を実施した。この縦断研究の研究成果についてポーランドで9月に開催された国際学会(Poznan Linguistic Meeting, PLM2008)で口頭発表を行った。題名は"computational and Non-computational Aspects of Language in Japanese Grammatical Specific Language Impairment: A Case Study"である。この国際学会で発表した内容は学会後に論文化し、"Poznan Studies in Contemporary Linguistics"誌に投稿した。なお、昨年度参加したフィンランドでの国際学会(ヨエンスー大学)の発表内容を学会後に論文化して投稿していたが、この論文は今年度、フィンランドのヨエンスー大学で発行している雑誌"Studies in Language"に掲載された。論文の題名は"Characteristics of Grammatical Specific Language Impairment (G-SLI) in Japanese: A Case study"である。国内においては9月に日本特殊教育学会第46会大会において、本研究の対象児である2名のデータをもとに、「特異的言語発達障害児2例における束縛表現の理解」という題名で発表した。
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Studies in Language 44
ページ: 53-59