研究課題/領域番号 |
19530587
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上村 惠津子 信州大学, 教育学部, 准教授 (30334874)
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研究分担者 |
石隈 利紀 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (50232278)
永松 裕希 信州大学, 教育学部, 教授 (60324216)
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80282937)
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キーワード | 教師 / 保護者面談 / 連携 / グラウンデッド・セオリー・アプローチ / 発話分析 |
研究概要 |
本研究では、平成19~20年度にロールプレイおよび実際の保護者面談の発話分析を行い、教師及び保護者が面談で連携を構築するプロセスのモデルを生成した。平成21年度には、これらのモデルを基に、保護者面談における保護者と教師の発話のやりとりの相互作用の分析を試みた。 まず、相互作用の分析方法について検討した。本研究では、連携を「保護者と教師が双方向のコミュニケーションを通して子どもに関する情報や理解を共有し、対応方針を共有するプロセス」と定義した。操作的には、両者の意見が一致しているかを示す「同調性」と両者のコミュニケーションの偏りを示す「コミュニケーションの方向性」の2点で定義した。そこで、相互作用の分析にあたっては、連携の定義に基づき「同調性」と「コミュニケーションの方向性」、保護者の視点から「サポートに関する教師の発話状況」の3点を分析の視点とした。 つぎに、ロールプレイ13件の面談の相互作用を概観した。この結果を基に、特徴的な面談の相互作用を詳細に分析し、連携を促進、あるいは困難にする教師の発話特徴を分析した。 コミュニケーションに偏りがあり、最後まで「非同調」が見られる面談の分析からは、教師が自らの価値観を頑なに主張したり、早急な振り返りや謝罪、対応策の提案を行ったりすることにより連携が困難になると考えられた。一方、面談途中に非同調がありながらも最後には同調に転じる面談を分析した結果、一方的に対応策を提案しながらも連携が促進されている面談においては、教師と保護者の意図にズレが生じた場面で教師がその葛藤を面談で取り上げていることが分かった。また、早急な振り返りや対応策の提案を行いながらも連携が促進されている面談では、情報を十分に共有してから対応策の検討に移行する展開となっていた。これらの面談は教師と保護者の意図や意見にズレが生じる場面があるものの、面談を通してそのズレを解消することができている点において意義があると思われた。 なお、相互作用を分析する視点の絞り込みに時間がかかったため、実際の面談の相互作用の分析については次年度に行うこととした。
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