研究概要 |
最終年度にあたる本年度は,これまでの研究成果を踏まえて,学校組織のリーダー(新任教頭)研修が彼らのアセスメント能力の改善に及ぼす影響について実証的に検討した。研究対象者は,岡山県下の小・中・高等学校,及び特別支援学校の新任教頭126名であった。研究の結果,本研究で開発したスクールリーダーのアセスメントスケールの妥当性が確かめられた。さらに,アセスメントの研修によって,スクールリーダーのアセスメント能力の高まりが確認され,内容分析の結果,これらの高まりは(1)評価の多面性への気づき(教師を評価するときの視点をもっとふやし,教師の仕事全般にわたるような視点が必要なことと,学校全体の取組みをささえる教職員もきちんと評価することが大切だと思った),(2)評価の多面性と文脈的業績のつながり(授業能力・児童理解・学級経営能力が中心となっていたが,他に,職員との人間関係作り,校内における組織としての一員としての役割も評価として考えていた。文脈的業績は,組織の一員としての自覚に立った行動がとれることに対する評価を是非していきたいと思った),(3)文脈的業績への気づき(文脈的業績は大切だと思う。「協働」を個人の評価でなく,学校力として支え,フィードバックすることこそ学校の活性化につながる),(4)より具体的な評価への気づき(具体的な事例をあげて,どのような評価をつけるかチームで話し合った。このような評価軸についての研修は初めてであった),(5)話し合いの中での気づき(自分1人での評価基準は,自分の経験に基づくものが多い。したがって,他人の評価基準を聞くことは,視野が広がって有意義だった。グループで話し合う中で,様々な評価の視点に気づくことができた),の五つの内容から構成されていることが明らかになった。 そして,最後に三年間の研究成果を踏まえた,スクールリーダーのアセスメント能力に関する新たな理論的モデルを提出した。
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