平成19年度は軽度発達障害児の友人関係スキル形成のための発達支援プログラムとしてどのような内容が子供同士の関わり合いを促進するのかについて、実際の集団心理療法場面の分析を通して検討を行った。集団心理療法における各グループは、こどもの障害特性、年齢水準、多動性衝動性、行動の柔軟性といった特徴を考慮して構成され、グループリーダーを中心としたセラピストの協議によってプログラムが構成された。2つのグループにおける12個のプログラムを「活動性」、「競争性」の視点から評価し、クラスター分析を実施した結果、プログラムは「活動的対決プログラム」、「活動的共同作業プログラム」、「創造的共同作業プログラム」の3つのクラスターに分類されることが明らかとなった。これら3つのクラスター間の違いについて「こども同士の相互作用」という観点から行われたSD法によるセラピストの評価点を指標として、一要因三水準の分散分析を行った結果、「活動的対決プログラム」と「活動的共同作業プログラム」との間に有意な差が認められた。活動的対決プログラムと比べて活動的共同作業プログラムの方がこども同士の相互作用の程度が高かったことが明らかとなった。発達障害児の場合、元来、多動・衝動性といった行動コントロールの課題を抱えていることが多いため、プログラムの中に競争的課題や勝敗といった対戦的内容を持ち込むことはむしろこども同士の相互作用を阻害する可能性が高く、むしろ、意図的に共同・協力といった観点をプログラムに組み入れる必要があることが示された。
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