平成20年度は、発達障害児自身が自らの友人関係のあり方についてどのように認識し、生活の中でどのような期待や不安をいだいているのかについて調査研究を実施した。同時に、保護者自身が我が子の友人関係意識についてどのように認識しているのかについても併せて尋ね、子供自身の認識のあり方との関係性について分析した。その結果、対人関係に困難を抱える自閉症を中心とした発達障害児においても、現実の友人関係よりもよりよい関係性を持つことを強く望んでいることが明らかとなった。また、性差も明らかになり、友人との共同活動をもつことを男児が女児よりも多く望んでいること、女児においては、共同的な活動そのものよりも、友人との相互理解を望んでいることが明らかとなった。さらに、保護者と子供自身の友人関係に関する認識に差異が認められた。保護者が思う以上に、発達障害児自身は「相手を傷つけない配慮」、「友達の気持ちの理解」、「友達を楽しい気持ちにさせる配慮」といった項目において、自ら努力していることが示された。また、保護者から見て、不注意傾向が高いと見なされているこどもは、友達を怒らせたりけんかをしないようにする努力を他児と比べて高いレベルで行っていることが明らかとなった。これらの結果から、一見、他者への配慮性のなさ、攻撃性の高さなど否定的特徴から評価されやすい発達障害児でも自己内においては感受性高く他児との友人関係のあり方について悩み、考えていることが示唆された。
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