まず須田は、アスペルガー障害の青年に対する様々な支援方法を開発するために、実験的支援(治験的研究)を行った。9名のケースについて、十分了解してもらう契約手続きと説明ののち、さまざまな条件で、繰り返し実験的支援を行った。その第一は、系統的脱感作法からの緊張弛緩の試みで、不快情動へのエクスポージャーの後、呼吸法による弛緩を行い、もう一方は、タッピングによる弛緩を行っている。個別に効果は認められ、効果としてもそれまでもっていた「不安」の緩和が認められたが、安定した定型的な実験手続きが創れずに、試行錯誤を続けている。彼らの不安得点はきわめて高かったため、この効果の確認によって支援法の将来的展望はあるものの生理的指標による変化の測定などさまざまな問題が残されているといえる。 いっぽう本郷は、保育所にいる「気になる」子どもの発達的特徴を記述して、発達的な問題を検討することを行った。対象児は、「気になる」子ども32名(男児26名、女児6名;平均月齢は61.8か月)。保育者が記入したKIDS乳幼児発達スケールについて分析を行った。その結果、項目別に通過率を見ることによって発達的な特徴を抽出できるか検討を進めている。一部を示すと通過率は、「子ども達だけでリレー遊びができる」(31.6)が最も低かった。その他の「運動」領域の項目では、体のバランスに関係するものの通過率が低かった。通過率60%以下の項目としては、「運動」領域の項目と、ともに「概念」「社会性(対子ども)」の項目が3項目ずつ認められた。「概念」の項目は関係概念や社会的な概念に関係する項目であった。などである。
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