研究概要 |
「care-attachment」と「intersubjectivity-companionship」という二つの社会的次元はどちらも乳児期の対人関係、とりわけ発達初期の親子関係の基本概念であるが、両者の関係は知られていない。乳児期には親から安心感を得ると同時に、親とこと、相互の意図に合わせて行為を調整し、協力し合う力の発達が必要である。そこで、本研究では、29組の母子を対象として出生直後から3歳まで、以下の指標について縦断的に観察した母親は、3,4か月時に、遊戯性を、3,6か月時にAinsworthの感受性を評価された乳児は4か月時にPIS、6か月時に物志向性と注意の共有、10か月時にSISを評価した。パス解析の結果、(1)PISとSISとは関係がないこと、(2)母親の遊戯性がintersubjectivityの発達に大きな影響力を持つこと、(3)母親の感受性はinter-subjectivityとは独立なことが見出された。従って、乳児期の対人関係の発達過程には、「care-attachment」と「intersubjectivity-companionship」という二つの独立した文脈のあることが示唆された。
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