研究課題/領域番号 |
19530595
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研究機関 | 仙台大学 |
研究代表者 |
荒井 龍弥 仙台大学, 体育学部, 准教授 (60254819)
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研究分担者 |
斎藤 裕 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 准教授 (90215567)
佐藤 淳 北海学園大学, 経営学部, 教授 (60265056)
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キーワード | ル・バー / 誤概念 / ルール学習 / 植物概念 / 面積判断 / 帰納 / 課題解決 |
研究概要 |
本研究は、学習者のもっ誤った知識のうち、単なる一事例の「勘違い」「おぼえちがい」ではなく、数の事例について一貫して誤る判断基準である「ル・バー(誤った自成法則)」に焦点をあてたものである。本研究の目的は大きく2つに分けられる。 (1)大学生と小学生が同程度の割合でル・バーを保持している知識領域を対象に、関連する事例群に対する知識の保持状況および、事例とル・バーの関係に関する理解状況、さらには両者をめぐる思考操作の様相について、大学生の回答を検討すること。 (2)ル・バー修正のために有効な教授ストラテジーとして、ル・バーに基づいた場合の予測と正しい判断基準による予測のそれぞれの思考操作を含めて対提示した後、結果を示すといった方法が考えられる。この教授ストラテジーの効果を検討する。 以上の目的のもと、複数回にわたる調査が実施された。得られた結果は概ね以下の通りであった。 (1)植物の光合成、植物の生殖、動物概念、四角形の面積、密度に関する知識領域を対象とした調査を行った。出題者が設定した課題の抽象水準は、必ずしも大学生が回答する際の抽象水準とは同じではないことが改めて示された。この現象をただちに「個別的解決」と呼ぶことはできないものの、従来暗黙裡に想定されていたルールとル・バー(誤ったルール)の単純な対置関係が成立しないということができる。さらに、ルール(誤ルール)と事例との変換操作(演繹・帰納)はかなりの大学生で正しくなされていないことも明らかとなった。 ここにいたって、「ルール」対「誤ルール」もしくは「ルール解決」対「個別解決」といった単純な図式で大学生の認識を検討することは必ずしも当を得たものとはならないということが示されたといえよう。 (2)複数にわたる領域において、繰返し試みられたのは、学習者自身に自らの反応を振り返って考えてもらう「帰納課題」(回答基準探索課題という名称の方がより実際に近い)であった。これらの課題が回答の一貫性を高める若干の効果がある可能性が見られたものの、効果の検証・確定には至らなかった。
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