幼稚園3歳クラス入園児の園生活適応過程を、入園式翌日から1週間にわたり41名の保護者が記録した家庭での様子から検討した。入園後1週間の子どもの様子を整理すると、大きく4つのタイプが設定できた。第1は、入園直後から園生活を楽しみに通う<園生活エンジョイタイプ>であり、26名中14名(54%)が該当した。このタイプでは、1)兄・姉が同じ園に通っている(通っていた)ことにより、送迎や行事で園に出入りしていた、2)該当園が実施している週1回2時間の就園前保育に参加していた、などの理由から、園についての知識はすでに獲得していたようである。第2は、登園時は泣いているのだが、帰宅時にはにこにこ顔で「楽しかった」と言う<行ってみれば楽しかったタイプ>である。6名(23%)いた。保護者は、心が痛みつつ子どもを送り出すが、帰宅時のにこにこ顔や園での楽しい経験の報告を通して、園で楽しく過ごしたのであろうと推測してほっとする、という日々を過ごしている。第3は、家族と離れてひとりで通うことに不安を感じている様子の<不安タイプ>である。2名いた。大泣きするというよりも「どうしてお母さんは行かないの?」「どうして**(子の名前)だけ行くの?」とたずねている。子どもたちにとって、保護者が一緒でないおでかけというのは無かった経験であり、とまどっていると言えるかもしれない。帰宅時に母からたずねられて「楽しかった」とは答えるものの、表情は寂しそうであるので、保護者を不安にしている。第4は、今回の資料では1名だけだが、園生活についての知識を積極的に収集しようとする<園生活探索タイプ>である。園での経験を詳細に報告するほか、「つうえんバックのつうって何のこと?」などをはじめ、いろいろ保護者にたずねている。これらのタイプが、園生活経験とともにどのように変化していくのかを検討することが、今後の課題である。
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