幼稚園に3歳クラスから入園する子どもたちとその保護者を対象として、家庭で保護者に把握される子どもの様子、家庭での子どもの様子にもとづく保護者の心配とその解消へのとりくみについての質問紙調査を、卒園までの3年間にわたって縦断的に行う。また、平行して、園での子どもたちの生活の様子の観察と、保育者への面接調査を実施する。これらの資料を基に、明らかにしたいことは以下の3点である。 (1)園生活に適応していく様子や不適応に陥りやすい時期や契機を明らかにする。園生活に戸惑うのは、3歳児クラス入園直後のみではなく、4歳児クラス・5歳児クラス進級時にも、同様の戸惑いが見られるであろう。また、こうしたクラス移行時のみではなく、大きな行事などに取り組む際にも、何らかの戸惑いが生じる可能性がある。こうした戸惑いを生じる時期と契機とを、園での観察と保護者からの家庭での様子の報告から、3年間にわたって縦断的にとらえていく。 (2)(1)でとらえた適応していく時期や戸惑いの時期に、子どもたちが家庭ではどのような様子を見せるのか、家庭では園生活について何をどのように語るのかについて整理する。適応や戸惑いの様子と、家庭での様子や保護者に語る内容とがどのような対応関係にあるのかを検討することで、園生活理解のプロセスについての示唆を得る。特に、藤崎(2002)では、3歳クラス児が言語的には園独自の生活の流れについて報告できない一方で、入園2・3ヶ月でほぼスムーズに生活できていることを、園での観察や保育者への面接調査でとらえている。この両者の間のずれをどのように考えればよいかの知見も得たい。 (3)幼児の園生活理解を促し、支えるために保護者がどのような取り組みを行っているのかを整理する。幼児の園生活理解を促し、支えるための保護者の有効な取り組みを整理するとともに、保護者が有効な取り組みを行うためには保育者がどのように支援すればよいのか、あるいは外部の心理の専門家がどのように支援しうるのかを検討する。
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