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2009 年度 実績報告書

心身相関的な生気論的因果の発達

研究課題

研究課題/領域番号 19530599
研究機関津田塾大学

研究代表者

外山 紀子  津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (80328038)

キーワード概念発達 / 生気論 / 素朴生物学 / 作物栽培 / 生命認識 / 社会認識 / 心身相関
研究概要

(1)生気論的因果の中心概念である「活力」(vital force)の意味するところを検討した。大人だけでなく幼児も,「エネルギー」と「パワー」を主に身体的特性をさすものとして用いていた。「元気」が身体的特性だけでなく心理的特性をさすものとして概念化されていることは,幼児についても認められた。「活力」に対応する日本語である「元気」は,幼児期から既に,心身相関的な意味をもつものとしてとらえられているようだ。
(2)元気の摂取源と摂取メカニズムについては,顕著な発達的変化があった。元気が摂食や休息といった身体的活動から摂取されるという理解は幼児にも認められたが,気晴らしや友好的な人間関係といった心理的活動から摂取されるという理解は児童期半ば以降,顕著になった。たとえば,元気が人間関係を通じて他者から伝達されるとか,気晴らしなどによって生成・蓄積されるという説明は,児童期半ば以降に出現した。これらの結果は,生気論的因果が身体現象固有の因果装置から心と身体にまたがる現象にも適用される因果装置へと質的変容を遂げることを示唆している。さらに,この変容が心と身体の相互依存性に関する理解の発達に重要な役割を果たすことも示唆された。心因性の身体反応に気づいている幼児はそうでない同年齢児よりも,元気が身体内部で「生成される」とか「蓄積される」といった説明に言及しやすかった。
(3)保育園で日常的に作物の栽培活動に関わる経験をもつことが,生物学的現象の理解,生気論的因果の使用と関連するかどうかをみた。その結果,日常的に栽培活動を実践している園の4・5歳児は,植物の生命認識,植物の成長に関する理解だけでなく,食物の流通過程に関する理解についても,対照園の同年齢児と比べて,詳細な理解を有していることが示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Japanese Children's and Aduits' Awareness of Psychogenic Bodily Reactions2010

    • 著者名/発表者名
      Noriko Toyama
    • 雑誌名

      International Journal of Behavioral Development 34

      ページ: 1-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 保育園の作物栽培実践に基づく食物の生産過程に関する学び2010

    • 著者名/発表者名
      外山紀子・野村明洋
    • 雑誌名

      日本食育学会誌 4

      ページ: 103-110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 作物栽培の実践と植物に関する幼児の生物学的理解2009

    • 著者名/発表者名
      外山紀子
    • 雑誌名

      教育心理学研究 57

      ページ: 491-502

    • 査読あり
  • [学会発表] 「子どもの食」に関する知恵と技能の継承2010

    • 著者名/発表者名
      外山紀子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第21回大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2010-03-26

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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