幼児は、仲間との<けんか>をどのように捉えているのかについて、年齢横断的に検討した。具体的には4歳児(年少組)から6歳児(年長組)を対象として、1対1のインタビューをおこない、(1)<けんか>についての概念的および実際的な認識を尋ねる質問と、(2)手続き的な知識を尋ねる質問をした。質問の例は次の通りである;質問(1)「○○組で、<けんか>になること、あるかな?」、「どうして<けんか>になるのかな?」「そういうときには、どうしたらいいのかな?」。質問(2)人形を2体用意して、物の取り合いを演じて見せて、対処の仕方について尋ねる。「『貸して』、『ダメ!』になっちゃったね。こういうとき、どうしたらいいかな?」、「そのあとは、どうなるかな?」。また、週1回、自由遊びを参与観察し、いざこざも含め子ども同士のやりとりをフィールドノーツに記録した。その結果、4歳児は<けんか>になることはないと答えることが年長の子ども達よりも相対的に多く見られたが、人形が物の取り合いを演じる状況で質問すると、"物を交替で使う"ことを動作により答えることが見られた。そこから4歳児は、より年長の子ども達に比して、<けんか>について概念的に認識することには困難があるが、<けんか>について手続き的な知識は有している可能性が示唆された。20年度はさらに、その4歳児たちの1年後を追い、縦断的に検討する予定である。
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