本研究では、幼児期3年間において〈けんか〉への対処についての認識がどのように変化していくのかについて、4歳時点からインタビューを実施し、1年後、2年後を追い、発達的変化を検討した。その結果、〈けんか〉への対処についての認識の発達の経路としては、2つあることが示唆された。一つ目は、自己抑制的で定型的な対処から、自他の要求を踏まえた交渉へと変化する経路であり、二つ目は、4歳から6歳まで、自己抑制的で定型的な対処について捉え続けるという経路であった。さらに、その2つ以外の経路の存在を示唆する事例が見出された。そこから、〈けんか〉への対処についての認識の成長の仕方には、多様な経路のあることが示唆される。
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