研究概要 |
19年度は大きく二つの成果を得ることができた。一つはプロジェクト学習を導入した授業の構成を検討し,一定のモデルを得ることができた。つまり,半期完結型の授業を前提に,前半7コマを使い,科目内容(今回はキャリア教育)を協同学習の理論と技法を用いながら授業を実施する。その際,安永ら(2007)が提唱した対話中心の授業方法が有効であることが確かめられた。この前半の7コマを通して,学生は学習の意味を再発見し,仲間と協同して学び合い・高め合うことの有用性を実感でき,後半で実施するプロジェクト学習に対する準備性を高めることができた。続いて,後半の8コマを用いてプロジェクト学習を実行し,プレゼンテーションまで実施する方法を確立した。ここでは学生が主体であり,プロジェクトの企画、実施、成果報告のすべてを学生が主導して実践した。指導者はアドバイザーないしはファシリテーターの役割に徹することができた。今回モデル化できたこの方法を基盤に,今後の実践研究を展開できる。 二つめは,プロジェクト学習の効果を測定するための尺度の開発と検討を実施した。新たな尺度として二つの尺度を開発した。一つは協同作業認識尺度(投稿中)であり,一つは信頼行為受容尺度(長濱、安永,2008)である。また,不確定志向性,自尊感情,希望,大学生活への適応など,本研究に関連する資料の収集をおこなうことができた。これらの資料の詳細な検討はこれからの課題となる。
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