本研究は、認知症高齢者のためのCognitive Stimulaton Therapy(CST)のグループ・プログラムについて、我が国の文化を十分に配慮し開発を行い、その効果について基礎的知見を得ることを目的としている。今年度は、以下の点について検討し、最終年度の研究およびま、とめに向けて、体制を整えることができた。 1.前年度に行ったCSTや関連する認知症高齢者のための非薬物的アプローチに関する文献的考察をもとに、日本認知症ケア学会において学会発表を行った。発表では、CSTが認知機能だけでなく、QOLの維持・改善の面からも検討が行われていること、しばしば混同される認知トレーニングや認知リハビリテーションとの差異についても報告した。 2.ロンドン大学で行われたCSTに関するワークショップに参加し、CSTがイギリス国内において認知症の非薬物的アプローチとして広く採り上げられている事実や、CSTの維持プログラムの標準化に関する最新の情報を得た。また、我々のCSTプログラムの試案について、文化面に配慮し工夫した点などを中心に、細かな手続きの点についても、具体的に意見交換を行った。 3.それらの情報から、さらに本プログラムに修正を加え、特別養護老人ホームにおいて、再度、予備的検討を実施した。その結果に基づき、最終年度に実施する本プログラムを完成させた。なお、新たに追加した維持プログラム開発についても検討を開始した。
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