本研究では感情認知能力と社会的適切さの判断を多面的に評価する「社会的情報処理能力検査バッテリーを開発し、信頼性、妥当性を検証し、標準化を行った上で、臨床的妥当性の検証を行うことを目的としていた。 平成22年度は「社会的情報処理能力検査バッテリー」の自由記述採点マニュアルを作成した。また、最終年度であることから、これまでの成果発表を行うと共に、報告書として3つの課題を含んだマニュアルを作成した。 (1) 「社会的行動の評価課題」における自由記述採点マニュアルの作成 これまでの自由記述データをKJ法で分類し、主要な記述を回答例としてまとめると共に、研究協力者との協議により採点基準を定めた。あらたな採点基準により評定者間信頼性を求めたところ、従来の基準よりも一致度が上昇した。 (2) 成果報告 日本教育心理学会第52回総会において、感情認知課題における中学生データの分析結果、日本LD学会第19回大会において社会提起行動の評価課題とAQとの相関を中心とした妥当性検証についての成果を報告した。また、社会的行動の評価課題の成果については論文作成を行い、学会誌に投稿した。 (3) 報告書作成 「感情認知課題」、「感情と社会的文脈読み取り課題」、「社会的行動の評価課題」の3検査からなる釈迦提起情報処理能力検査バッテリーの検査刺激、回答用紙、実施採点法および関連の成果ををまとめた冊子を報告書として作成した。報告書には音声課題や回答用紙をCDに収録したものを添付した。
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