研究概要 |
研究1:2006年7月より年1回の縦断調査を行っており,2008年8月にも質問紙調査を郵送によって行った。対象は2006年度時点で中学1年生から3年生までの生徒とその保護者であり,最終的に187組の親子の回答を得た。3時点でのデータを分析した結果,保護者の養育態度は,個人内で時間と共に変化はするものの,個人間を比較すると相対的に異なった特徴をもった安定したグループに分類することができ,一貫して望ましい態度で子どもに関わっている群や一貫して望ましくない態度で子どもに関わっている群が抽出されている。また,保護者の養育態度は子どもの感じている相互信頼感を媒介して,子どもの自尊感情や学校適応に影響を与えている可能性が示唆された。 研究2:中学生の子どもを持つ保護者を対象にして,思春期の子育て支援ワークショップを企画・実施し,3回で40名の参加者を得た。ワークショップの主な内容は,研究1で使用されている保護者の養育態度を測定する3種類の心理テストの実施とその解説,参加者同士の話し合い,事後アンケートの実施で,所要時間は2時間であった。ワークショップの目標は,保護者が自身の養育態度の特徴や子どもとの関係性についての気づきと理解を深めることとした。事後アンケートの結果,ワークショップの体験は保護者にとって,自己理解を深めるための情報的,認知的サポートにはなっているが,自信を高めたり,悩みの解決には寄与することができない可能性が示唆された。また,実施の仕方の工夫により,より一層の効果が上げられる可能性とリスク評価の必要性といった今後の課題も明らかになった。
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