研究概要 |
本研究の目的:がん医療現場の臨床心理士(以下,心理士)を臨床心理士養成大学院教員(以下,教員)が臨床及び研究において支援する体制を構築することを目的とする。第1次調査:初年度の本年度では,心理士の業務や研修の実態と教員へのニーズを明らかにするため,質問紙調査を行った。心理士200名に調査票を配布し,66名から有効回答を得た。回答者の7割ががん診療連携拠点病院に所属し,院内では精神科所属と地域連携科など全科対応の組織所属に分加れたが,その多くは緩和ケアチームの一員だった。主な業務は,スタッフからのコンサルテーションが最も多く,次いで患者や家族のカウンセリングだった。7割が研修機会に恵まれていないと感じ,もし身近にがん医療専門の教員がいたら,研究会やスーパービジョンへの参加を希望する回答が多かった。2年半前の同様の調査と比較し,この領域の心理士がこの数年で急増し研修ニーズも高いとがわかった。 第二次調査:こうした心理士のニーズに教員がどう応えるか,教員対象の質問紙調査を現在継続中で,次年度に結果を報告する予定である。 メーリングリストの開設:平成19年10月から,研究代表者が管理者となり,心理士及び教員ががん医療緩和ケアに関する情報や意見を交換するためのメーリングリスト(ML)を開設し,平成20年3月の時点で160名が参加し,160通のメールが投稿された。本MLでは,心理士支援に有益だけでなく,本研究への協力依頼,研究成果のフィードバックなど,インターネットによる新たな研究手法の可能性を示唆している。
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