研究概要 |
本研究の目的:がん・緩和医療現場の臨床心理士(以下,心理士)を臨床心理士養成大学院(以下,大学院)の教員が臨床及び研究において支援する体制を構築することを目的とする。 第二次調査:前年度の第一次調査で明らかになった心理士の大学院教員に対するニーズに大学院教員がどう応じているかを明らかにするため質問紙調査を行ったが,10数名の回答しか得られなかった。そこで,数名の大学院教員とともに,心理士対象に合宿形式の事例検討会,学会等を舞台にしたシンポジウムやワークショップを実施し,心理士の感想を求めるアクション・リサーチを行った。その結果,心理士の活動や緩和ケアチーム内の役割が医療現場のニーズに応じて多様化しているため,研修も多様かつ組織的なものが求められていることがわかった。また,前年度に本研究の一環として開設したメーリングリストには,心理士,大学院教員等が250名参加し,がん・緩和医療の研修機会や臨床実践に関する情報や意見交換が続けられており,そこからも大学院教員の果たすべき役割が明らかになっている。 第三次調査:心理士と大学院教員が継続的に連携しているモデルとして,関東地区,関西地区,中国四国地区,九州地区からそれぞれ1つの研究会を選び,連携の現状と今後の課題について聞き取り調査による事例研究を行った。その結果,2事例は大学院教員が企画運営の中心であるのに対し,他の2事例は心理士が中心に企画運営し,大学院教員は側面からの援助をしており,2つのタイプにおいて活動のあり方がいくつかの点で異なることがわかった。この4事例について,次年度も調査を継続する予定である。
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