平成19年度の調査研究では、高機能広汎性発達障害児(HFPDD)40名の調査を実施した。そのうち、平成17年度から継続的に調査できたHFPDDは19名(66%)、WISC-では、平均VIQ=101.83、平均PIQ=98.61、FIQ=100.39となり、VIQ・FIQともに70以下に低下したのは1名のみだった。PARS(広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度)では、平均回顧:27.2、平均現在:19.6となり、中学生以降で6名(32%)が回顧では該当しても、現在は該当しない結果となった。今年度新たに調査を実施した結果としては、年令は平均10.29(7-16才)、男女比は3.4:1となった。WISC-では、平均VIQ=102.50、平均PIQ=100.70、FIQ=102.28となり、先の1名を除いて、VIQで70未満・FIQで80以下にいなかった。PARSでは、平均回顧:35.25、平均現在:22.88となり、先の6名以外で1名の計7名(18%)が回顧では該当しても、現在は該当しない結果となった。 自己意識の発達的変化に関する詳細なデータ分析は平成21年度の調査結果と合わせて詳細に報告するが、平成17年度との大まかな比較としては、次の2点が示唆される。 1.小学校では、年令の要因よりも支援体制の充実の度合いによって、「自分らしさ」を表現しながらも適応できているか否かで、ストレスの程度が左右される。 2.中学・高校では、男性の多くでそれぞれのIQが伸びており、同時に想像性は伸長して、社会的な不器用さは潜在化していく傾向が強い。ただし、女性では安定感は伸びていても、IQ上の変化としては、若干低下する特徴がある。
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